【続き】看護チームにおける各々の業務における役割と協働についての基本的な考え

query_builder 2022/05/16
コラム
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近年の社会における看護へのニーズが変化する中で、安全で質の高い看護を効果的・効率的に提供するため、看護チームにおける看護師・准看護師及び看護補助者の業務のあり方に関する基本的な考え、各施設において必要な体制整備について目指す姿を示すものとして公開されています。

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日本看護協会ホームページより「2021年度改訂版 看護チームにおける看護師・准看護師及び看護補助者の業務のあり方に関するガイドライン及び活用ガイド」が2021年5月14日に更新されました。

このガイドラインは、2019年2月に公開されており、2020年10月の厚生労働省「看護師等養成所の運営に関する指導ガイドラインについての一部改正」に合わせて内容を更新されたものです。


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医療機関及び訪問看護ステーションにおける看護職と看護補助者の協働についての基本的な考え

看護補助者の業務は「療養上の世話」と「診療の補助」を含まない看護補助業務とする。

・保健師助産師看護師法(第31条)において、「療養上の世話」と「診療の補助」は看護師の業務独占であると定められているため、看護補助者は「療養上の世話」と「診療の補助」を実施してはならない。

・看護補助者の業務範囲は「療養上の世話や診療の補助」に該当しない看護補助業務である。

・この看護補助者の業務範囲内で、個々の看護補助者の経験、研修受講状況、能力等により、業務を分担することは可能である。

・国家資格を有していても、看護職の免許を有しない者は「療養上の世話」と「診療の補助」は実施できない。(医師・歯科医師を除く)

・看護師の業務独占を解除し、診療の補助の一部を業としている資格を有する者が「診療の補助」を行う場合を除く。


看護師は看護補助者に対して業務の指示を適切に出す責任がある。

・厚生労働省告示第58号「基本診療料の施設基準等の一部を改正する件」(令和2年3月5日)に基づき、看護補助者は主治医若しくは看護師の指示を受けて看護補助業務を実施しなければならない。

・食事、清潔、排泄、入浴、移動等の直接ケア(厚生労働省通知「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」(保医発0305第2号・令和2年3月5日)では「療養生活上の世話」)については、その業務が療養上の世話でない場合に限り、看護補助者が実施することができる。

・療養上の世話であるかどうかを判断する役割を担うのは、療養上の世話を業務独占している看護師である。

・業務が療養上の世話であるかどうかは、業務の内容だけでなく、対象者の状態によって決まる。

・清拭を例に挙げれば、体位変換によって容易に循環動態が変動するような患者の清拭は看護の専門的判断を要する業務であるため療養上の世話に該当するが、体位変換によって状態が変化するリスクがない人では療養上の世話に該当しない場合もある。

・対象者の状態を把握した上で、看護師が的確に判断することが求められる。

・看護師には、業務の内容だけではなく、対象者の経過・その時点での状態・予測される変化などを総合的に考慮した上で、その業務が療養上の世話に該当するかどうかの判断を的確に行い、看護補助者に業務の指示を出す責任があるといえる。

・看護師は業務を指示する上で行った判断や、指示内容について責任を負う。

・看護師には、指示を受ける看護補助者の能力、研修受講状況等を考慮し、その看護補助者の能力の範囲内で実施できる業務であるかどうかを判断した上で、看護補助業務に指示を出す責任がある。

・看護補助者が業務を実施する体制として、看護補助者が単独で実施する場合と、看護師とともに実施する場合がある。

・業務の実施体制も含めて看護補助者に業務の指示を出す必要がある。


看護師が看護補助者に業務の指示を出す際には、看護師にはその判断の妥当性についての責任が問われる。看護師が的確な判断のもとに指示を出したと示すことができるよう、特に対象者と直接関わる直接ケアについては、指示を出した看護師が誰であるのか、どのような指示を出したのかが記録として残っていることが重要である。


看護師・准看護師は看護補助者に対して業務の適切な指導を行う責任がある。

・厚生労働省通知「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」(保医発 0305 第2号・令和2年3月5日)を参照すると、看護補助者は看護師長及び看護職の指導の下に業務を行う必要がある。

・看護補助者は看護の資格を有しておらず、医療に関する教育も受けていない。

・対象者の状態に応じたケアの方法を判断する立場にはなく、標準化された手順や指示された手順に則って業務を実施する。

・看護師には、看護補助者に対して業務手順を示したり、具体的な方法を説明したりしながら、対象者の状態に応じた方法を指導する責任がある。

・准看護師が看護補助者に指導を行う場合には、看護師から看護補助者への指示に基づき、その具体的な方法を説明する。



ここまでが、各職業の業務における役割と責任の基本的な考えになります。医療業界の外から見れば、患者のサポートをしてくれる看護師さんとひとくくりにされることが多いと思いますが、看護チームの各々ができる役割と責任を明確に定義することは、とても大事なことに思えます。